世界基督教統一神霊協会（以下統一協会）は、「イエス」や「キリスト」の名を始め、キリスト教の用語を多く用いた教えを説いています。しかし創立者 文鮮明氏が「再臨のキリスト」〈再臨主〉であるとの主張は、イエス・キリストこそ真の救い主と信じるキリスト教の教義と相入れないという見解が一般的であり、日本のカトリック教会も、これを支持しています。
　統一協会は、自らが説く原理のもとで、世界に一つの人間家族を作り上げることが目的であると標榜しています。そしてこれを実現するために、各種の国際会議・大会・支援事業など、さまざまな活動を展開してきました。これらの活動は、一見 魅力を感じさせる側面をもっています。そのうえ統一協会の名を隠して行われるので、世界的に著名な学者や実業家、ジャーナリストさえも知らずに名を連ね、統一協会の宣伝活動に利用されてきた経緯があります。
　統一協会は、これらの事業を支える多額の資金を得るために、経済活動と称して多くの若者を詐欺的な販売活動に駆り立てています。統一協会は、これがまるで、キリスト教の宣教活動であるかのように思わせます。しかしその実態は、犯罪的な霊感商法であり、これまで数多くの被害が報告されています。
　そこで日本のカトリック司教協議会は、一九八五年六月二十二日付で声明を発表し、統一協会の危険性を指摘した上で、この団体に関係する会合や運動に参加することがないように呼びかけています。
　他の国々のカトリック教会も、この問題に対し早くから適切に対応しています。フランスのカトリック司教協議会は、統一協会の危険性について一九七五年に警告書を出しており、パナマの司教会議は、同一の立場から司牧書簡を発表しました。書簡には統一協会の実態が的確に記述されています。また一九七六年十二月二十八日に、ニューヨーク大司教区が、米国のユダヤ系委員会、全米教会会議と共同声明を出し、統一協会は反キリスト教的・反民主的であると断言しました。さらにこれまで、世界各国のカトリック教会の指導者たちが、統一協会が主催する会合への出席や諸活動への参加に強く反対しています。
　どうか、この冊子をお読みになった方がたが、賢明に対処されるよう願っています。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　カトリック中央協議会　広報